
方位磁石の指す方向。
第3章 scene 3
…どんなに想っても、
叶うはずない恋なのに。
目は智くんを
追い掛けてしまう。
「しょーうちゃーんっ、
購買いこー?」
「あー…
…あ、」
「どうしたの?翔ちゃん。
変な声出して。」
リュックの中に入っていたのは
…昨日買ったパン。
「おおっ。翔ちゃん、ドジ!」
「ばっ!うるせぇっ」
うるさい雅紀の口を塞ぎ、
購買へ向かった。
涼帆は、なんで手紙なんだろう。
えらく古典的だ。
昔から活発で、やんちゃで。
個人的には、二宮みたいに…
ストレートに伝えてくれた方が
俺は好きだ。
…智くんは、雅紀が好きなんだ。
俺の親友は、親友が好きなんだ。
…もう。叶うはずないだから。
諦めなんか、とっくに……
「…翔ちゃん、俺焼きそばパンと~
カレーパンと~…あっあとこれ!
クロワッサン!」
「はぁ!?そんな食うの!?」
「うんっ♪」
「…合計で…450…か、」
なんだ、このクロワッサン。
無駄にたけぇじゃねえか。
「わぁーいっ、やったぁ~」
袋の中から
カレーパンを取り出し
パクつく雅紀。
…まぁ、雅紀は
いいヤツだからな。
選ばれて、
当然なんだから。
…あー、なんか、吹っ切れたかも。
