
方位磁石の指す方向。
第15章 scene 14
二宮side
大丈夫、大丈夫だ。
俺だってそんなに、
子供じゃないんだから。
迷惑、かけちゃダメだ。
心配も、かけちゃダメだ。
潤くんが俺のことを
気にかけてくれているのがわかる。
痛いくらいにわかる。
授業中だって、
たまに俺のことを見てる。
お昼も、わざわざ中庭まで
連れていってくれる。
放課後は、たまにだけど奢ってくれる。
そんな優しい潤くんを、
俺はどこまで傷付けて、
悩ませるんだろうか。
もういい加減、前に進みたいのに。
進めないのには、わけがある。
「…まただ。」
翔さんのラインのステータスメッセージは
ちょくちょく変わっているのに、
連絡はまるでなし。
……なんでだろう。
大学、忙しいのかな。
それとも、
大学で誰かと付き合ってるのかな。
…浮気?そんなことしないよね…?
だって翔さんは、
俺のことが好きなんだから。
俺だって、
翔さんのことが好きなんだ。
「…わかんないよぉ… 」
ただ今は────
何も言わずに、
誰かに抱き締めてもらいたい。
ねえ、翔さん。
俺、翔さんがいなかったら
本当に何も出来ないんだよ…?
