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君がいるから

第2章 きっかけ

今日は、仕事は完全に口実。

最初は公私混同ながら、仕事はきちんとする予定だったけど

智のお誘いは

毎回、ほぼ確実に「何もしない日」になっている。

つまりは外回りのサボりの日。

…研修中の二宮を巻き込むのはかなりチャレンジャーな気はするけど

何となく「こいつならいいか」

と思う自分もいて。

二宮が「ラッキー♪」なんて素を出すから

「今日だけだぞ」

声は笑ったまま、とりあえず釘は刺しておいた。



歩きながら、二宮は俺と智の事を聞いてきた。

簡単に経緯を教えてやると

「いいなぁ…」と呟く声が聞こえた。

後は適当に当たり障りない会話。

余計な事は喋らない。

これが教育係の基本。



約束の店に着くと、二宮は酷く驚いていた。

まあ、確かにここは「昼」より「夜」が似合う場所。

「後輩が経営してるんだ。…行くぞ」

「いや、何か櫻井さんのイメージと違う…」

「なんだそれ」

俺は女の子をエスコートするように

二宮を促して

地下への階段を降りた。


「潤!久しぶり~!」

ちょこっと会話して、すぐに待ち人を探す。

そして潤から促され

先に着いた智たちの席へ向かった。

にこにこ手を振る智と

隣にいる「紹介したいやつ」

こいつもまた、初対面からパワー全開なやつだった。

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