
ローズ学園
第1章 春太&快斗
「へっくしょんっ。」
寒い寒いよーー。春なのに何でこんなに寒いんだろう。
今日からは高校生。今年こそは風邪ひきたくないなぁ。
「春太 大丈夫?ほらこれやる。」
そう言って隣を歩く快斗がくれたのは彼がつけていたマフラーだった。
彼は原山快斗(はらやま かいと)。僕、西樹春太(にしき はるた)が中学生の時からずっと仲のいい友達だ。
「い、いいよ。かいだって寒いでしょ?」
僕は快斗が巻きつけようとしてきたマフラーを、遠ざける。
「俺は大丈夫だって。俺が風引かないの知ってるだろ?」
快斗が自信満々に話す。爽やかな笑顔はほんとに寒さを感じさせない。
それに、彼のいうとおり、僕は長いこと一緒にいるけど快斗が風邪をひいたところを見たことがなかった。
「だからほら。使って。」
快斗が僕にマフラーを巻き付ける。快斗の顔がぐっと近づく。
快斗が近くちいるからなのか、マフラーのおかげなのか、もうすでに暖かいような感じがする。
目の前の快斗の頬が少し赤く染まってる気がするのは僕の気のせい?
やっぱり快斗も少しは寒いのかな。
「よしっ。おっけー。」
「ありがとう。」
僕はそう言って快斗のマフラーに顔をうずめる。
たぶん僕の体調の事を僕よりわかっているのは快斗の方だと思う。
いつも心配して、助けてくれる。
「どういたしまして。」
快斗が優しい笑顔で答える。
彼の笑顔を見たらなんだか安心して、自然と笑顔になった。
僕らは2人でこれから通う学校へと向かった。
3年間通うことになるだろう、ローズ学園へ。
