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今日も明日も

第64章 見えない鎖 part Ⅴ



「ただいま!」

玄関の鍵を開けて最初に飛び込んできたのは、案の定かずくんの姿

ホッとした顔を浮かべた後、“…おかえりなさい“ と迎えてくれた


「今日は何してたの?」

カメラで見た事なんかおくびにも出さず、リビングに一緒に向かいながら聞けば

「今日も鳥さん見てました」

かずくんからは予想通りの返事

…と言うかこれ以外の答えは聞いた事ないけど

「そっか」

これからは何か時間を潰せるものを探そうかと考えながら、かずくんをキッチンの椅子に促した

「ご飯、支度するから待っててね」

そう言って冷蔵庫に手を掛けようとした時

「あの……」

かずくんがふいに俺を呼んだ

「ん?なぁに?」

振り向くと、きゅっと唇を噛み締めていて

…何か言おうとしてるのは分かるから、冷蔵庫から離れてかずくんの横にしゃがみこむと


「ご飯…セットしました」

どことなく恥ずかしそうにかずくんが言った

え、と炊飯器を見れば確かに炊飯中の赤ランプがついている

ここに来て初めての手伝い

俺が見てる時ではないから、きっと帰るコールをした直後に動いたんだろう




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