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今日も明日も

第61章 見えない鎖 part Ⅳ


小学校までは普通に通ってた

中学からは殆ど通っていない事は聞いた

そして小学校には友達もいたらしい。


そこまでかずくんからはまだ聞けてはいないけど、恐らくこの中学時代から虐待は始まったんだと思う

その狂った世界にいる間に、精神も壊されたんだとしか考えられない

かずくんの両親の事を聞いても、何故かそこは “分からない“ としか答えない

生きてるのか、死んでるのか

それすらも分かってなかった





「かずくん、これね…教えるから広げて」

隣に座って、かずくんの背中を撫でる

「…はい」

かずくんは掌の携帯を俺に差し出した

「ううん、自分で触ろ。その方が覚えるから」

それを手に戻して、まずは折り畳まれた携帯を開かせる

「…そう、そこ押すと俺の番号が出るから。そしたらこの緑のボタン押すだけ」

“押してみて“

かずくんが恐る恐るそこを押す

程なくして携帯の機械から呼び出し音、そして俺のスマホから着信音が響きだした

「わっ」

『もしもーし、かずくん?』

隣にいながら、話すって奇妙なものだ

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