
今日も明日も
第52章 Bitter Sweet
くっきり付いたそれは、隠すのが微妙な場所
部活で着てるTシャツなら多分見え隠れする程度だから、本人が気にしなければ周りも気付かないけど
…かずは自分で気にしすぎて周りに気付かれるタイプ
「最低…」
恨めしげに俺を見るけど、その目は逆効果だ
「俺が遅くて拗ねてたから構ってあげようとしただけだよ?」
「は?拗ねてないし」
そう言いながら目を逸らすのは肯定を意味してるって事が分かってないのか
いや、違うな
分かってて、俺を試してるんだ
「帰りが遅いから拗ねたんだろ?」
「拗ねてないから!」
「そうなんだ、…俺は早く帰りたくて仕方なかったのに」
「え…」
もう少し
「1秒でも早くかずの顔が見たくて急いだのに」
わざと寂しげな声で囁く
「…っ!すぐ来なかったじゃんか!」
かずが “嘘つき!“ と俺の胸を叩いた
ー…ほら、認めた
「やっぱり寂しかったんじゃん」
柔らかい髪を撫でてやれば
“最低!“ 小さく呟いて、叩く代わりに胸に顔を埋めた
