
今日も明日も
第30章 理由はいらない 3rd
食べ終わる頃に、思い出した
そう言えば二宮さん、付き合って欲しい処があるって言ってたっけ
「二宮さん?」
「?」
口をもぐもぐさせながら、視線だけを俺に向ける
ー…あ、また可愛い
つい顔がにやけるのは仕方ない
やっぱり可愛いものは可愛いんだから
いきなりにやけた俺に、怪訝な顔をする二宮さん
に気付いて
俺は慌てて顔を引き締めた
「さっきの…付き合って欲しい処って、ここから近いんですか?」
それを聞いて
口の中のものを飲み込んだ二宮さんは
「車で…10分くらい、だと思います」
ふわっとした、だけど少し寂しそうな笑顔をみせた
「どこに…」
“行くんですか“ と言うよりも先に
「祖母のいる、施設です
一人じゃ…なかなか行けなくて」
遠いから、とかそう言う理由じゃない事は
俺でもすぐに分かった
その場所に「俺に」付き合って貰いたい
ー…二宮さんがそう思ってくれた事が嬉しくて堪らなかった
