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リモーネ

第5章 ペチュニア



「…あのね、せなさん、おれは、別にせなさんを攻めるつもりはないんだよ。だって俺から見てせなさんがどういう思想を持ってるかはわかんないし、どんな思想を持ってても構わないんだ。でもね、俺の思想をどうこう言われることだけは許せないんだ。誰にも個人の思想にとやかく言う権利はないし、言われる権利もない。だから、思想を押しつけることもしないし、されたくない。」

「え、あ…ごめん」

セナは太陽の光によって蒼く見える佐藤の瞳のなかで静かに燃える炎をみた

「あ、いや、そう言うことじゃないんだ、謝ってほしいとかじゃなくて、好きな人には好きって言うべきだし、それは祝福されるべきだよねーってことなんだよ。うん。へへへ…なんか、なにいってるかわかんなくなっちゃったなぁ。」

佐藤の目は、ぱっ、といつも通りの曇りひとつないビー玉のような瞳に戻った
そのあまりの変わりぶりになんだか気道が少し閉じたように呼吸がしずらかったセナはそれから解放され、小さな深呼吸をした

「はぁ…すごいよ、さとお…見直しちゃった」

「え、いや、そんなことないよ」

セナの素直な感嘆に、佐藤は顔をくしゃりと緩めて右手で照れくさそうに自らの頭を触りながら、左手でセナの肩をぼんぽんと叩く

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