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プリンス×プリンセス

第63章 盗み聞き

痛みに呻いて、片膝をついた。

ディオは老人の腕を離すと

「年寄りの冷や水との言葉もある。そろそろ自覚したらどうだ?」

ディオの冷やかな声を聞きながら、老人は肩を押さえてうずくまっていて…

そんな二人のやりとりに、私の気持ちはついていけない。

あまりにも衝撃的な内容。

じゃあ…ジュークは…

この城に来てからずっと…ディオの命を狙っていた、って事…?

ディオの有能な執事。

従者もジュークには一目置いていて、誰からも頼られていた。

それは私も…

『ティアナ様』

穏やかな声で、緑色の瞳を和らげて微笑んだ…あの表情は、嘘だったの…?

ぞくりと悪寒が走る。

それに堪えられなくて、木の幹に体を凭れさせて…

体を支えて、目を閉じる。

だから…なの?

貴方がルーミーを連れ出した理由。

最初からルーミーを殺すつもりで…?

自分の考えの恐ろしさに、幹に添えた手が震える。

その時

「盗み聞きとはいいご趣味ですね」

背後から男の人の声がした。

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