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プリンス×プリンセス

第50章 尊い人

あーあ、やっぱりな。

簡単に帰らせてくれる訳はないんだよ。

困ったような、あきれたような表情を浮かべるディオを見て、思わず頬を緩ませると

「貴女の優しさに…ディオチェスター王子は惹かれたのでしょうか?」

俺と同じ方向を向いたグレイスが、感心したように呟いた。

「さあ…どうなのでしょう?」

苦笑いを浮かべて答えたものの…

そんな事、知るか!

俺じゃなくてディオに聞いてくれよ!!

だけどそれではグレイスは納得しないようで、俺をじっと見つめてくる。

…何なんだよ!!

「…気になりますか?」

「はい」

恐る恐るの質問に、大きな頷きと共に返事をされた。

「ディオチェスター王子は、私の尊い人ですから」

「は…?」

その、あまりにも堂々とした立ち振舞いに、呆気に取られるしかなかった。

尊い人?

尊いって…ディオが???

「何か?」

「い…いえ」

問いただすような視線に、慌てて首を横に振る。

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