テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第50章 尊い人

シエンタから聞いていた関係性と若干ずれているように思えるんだけど…

「でも、幸せなら良かった」

「本当にそう思います?」

即座に聞かれて、質問の意味を図りかねて瞬きを繰り返していると

「私もシエンタには迷惑しているんです」

ため息と共に、絞り出すような声がした。

「あの人の、自己中心的な考え方…自分がそう思うから相手もきっとそう思っているって考え方は、理解できません」

そう言って肩をすくめると、ゆるゆると首を振った。

まぁ…確かにそうかもしれない。

この前の事も、完全にシエンタの独り善がりだし。

だけど…

「シエンタ王女は…あなたが泣いていたと言ってました」

「え?」

「すべてが彼女の思い込みだったとは思えませんが」

グレイスは顔を歪めると、俺から顔を背けた。

「ディオを、とても慕っていたと」

「だから…私のための行動だったと、シエンタは言いました」

俺から顔を背けたまま、固い声で答える。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ