テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第35章 噴水の前での約束

パーティーの時のスピーチは、緊張なんか微塵も感じさせない程に堂々としていたのに。

よく見れば、シエンタ王女の笑みがパーティーの時よりも硬い気がする。

子供のように物怖じしない人なのかと思っていた。

だけど、それを表に出さないだけで、本来はもっと繊細な人なのかもしれない。

「そうですか。…では私は戻りますね」

少し一人になりたいんだろうな。

俺がいると邪魔だろう?

そう思って、その場を立ち去ろうとしたのに

「いえ!あの!!」

シエンタ王女は慌てたように声を張り上げた。

「はい!?」

「あ…ごめんなさい」

頬を染めて、恥じ入るように口元に手を当てる。

「出来ましたら…お話し相手になって頂けませんか…?」

上目遣いで、覗き込むように目線を送られて。

こんな表情をされたら、無下に断れない。

「それは…構いませんが」

「ありがとうございます」

にっこりと微笑むその顔は、パーティーの時と同じで、とてもチャーミングだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ