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プリンス×プリンセス

第35章 噴水の前での約束

「シエンタ王女…?」

驚きの声音で彼女の名を呼べば、

「ああ、やっぱりテリオス様でしたのね」

ほっとしたように微笑むと、俺の元へ近づいてきた。

「こんな所で…何をなさっていたのですか?」

咎めるような言葉に、胸の中で苦笑いを浮かべる。

確かに。

一人でパーティーを抜け出して何をしてるんだ、って思うよな。

「あ…庭を見せてもらっていました」

「庭を?」

シエンタ王女へ微笑みかけ、こくりと頷く。

「とても居心地のいい、美しい庭ですね」

「ありがとうございます」

そう言って微笑んでくれた。

…でも。

そもそも、パーティーの最中なのに、その主役である彼女が何でここにいるんだ?

「シエンタ王女は、何故?」

俺の問いに、シエンタ王女は何度か瞬きをして…

少しだけ俯くと、口角がかすかに上がった。

「え…っと…少し、気分を落ち着かせたくて」

その弱々しげな口調に驚いた。

さっきまでの印象と全然違う。

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