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プリンス×プリンセス

第5章 薔薇が好きだから

その頃、ディオチェスター王子は。

執務室の窓から、テリオス達の様子を見ていた。

楽しそうに笑いながら、スコップで庭を掘り返している。

「全く…」

ディオチェスター王子はふぅっとため息をついた。

テリオスの、王子らしくない振る舞いが妙に鼻について仕方がない。

「苛立っておいでですね」

ジュークが笑いをこぼしながら声をかけてきた。

「俺が、か?」

「はい。あなたが、です」

長年一緒にいると、些細なことでも気付かれてしまうものなんだな。

「何が気に入らないと言うんだ…」

「ティアナ様ですか?それともテリオス様?」

確認するような口調に、ジュークを一瞥する。

こいつは…分かっていてわざわざ訊くとはな。

「無論、ティアナだ。それ以外、何を気にすると言うんだ?」

切り捨てるように言い放つと、ジュークは薄ら笑いを浮かべた。

「…そうですねぇ」

ジュークは顎に手を当てて考えると

「こちらにいらしてから、あまり外部との接触がありませんから、気持ちの持ち方を変えるのも手かと」

「例えば?」

「プリンセスレッスンはかなり進みましたし…もうそろそろ、役割を与えてもよろしいかと」

「そうか…」

ジュークの申し出に、ディオチェスター王子はため息をついた。

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