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プリンス×プリンセス

第5章 薔薇が好きだから

ジュークに案内された東側の区画で。

「カムリ、嫌だったら俺のお付き、辞めてもいいからな」

「大丈夫ですよ」

そう言いながら、俺付きの執事兼世話役のカムリがスコップを振るった。

姉上にシルフィが付いたように、俺にはカムリが付けられた。

ハチミツ色の金髪に、薄茶色の瞳。

170cm位の背だから、俺より少し高いくらいで、体つきもどちらかといえば華奢だ。

多分、畑を耕したり花壇作ったりなんてしたことないんだろうに、嫌な顔を見せず手伝ってくれる。

「それにしても…無茶をなさいますね」

カムリが、思いだし笑いを浮かべた。

「ん?無茶?」

「ディオチェスター王子に、あのように意見される方は初めてです」

「しょうがないよ。そういう性分なんだ」

笑いながらスコップで庭を掘り返すと、カムリが質問してきた。

「でも、何故そこまでして作ろうと?」

「ん?やっぱり不思議か?」

質問で返すと、カムリが言葉を選ぶように話した。

「そう…ですね。専門家に作らせた方が間違いないと思いますが…」

「育てるのは手間がかかるけど、咲いたときの喜びは格別だぞ?」

俺の言葉に、カムリは微笑むと

「では僕もその喜びを感じられるよう、お世話致します」

そう言って、慣れない手付きで花壇を耕した。

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