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プリンス×プリンセス

第21章 底無し沼

「出来上がったのなら、早く持っていかれた方が良いのでは?」

唐突に話題を変えると、ティアナ様はぽかんと俺を見返した。

「え…?」

「テリオス様がお待ちですよ?」

「あ…」

ティアナ様は視線をさ迷わせると、目をつむって小さく息を吐いた。

「そう…ですね」

そして、グラスを手に取ると、氷を入れていく。

…3つ?

グラスの数が3つあることに気付くと、レモネードを注ぎ入れたティアナ様が

「これは貴方に」

そのうちの1つを、俺の前に置いた。

「私に…ですか?」

「ええ。朝から忙しそうにしていたから。一休みしてはいかが?」

微笑まれてしまえば、断る事も出来ない。

「ありがとうございます」

軽く頭を下げると、ティアナ様がボウルなどを洗おうとしているので

「ここは私が。急がないと氷が溶けてしまいます」

そう言って止めると、ティアナ様は思案したのち

「ありがとう」

笑顔を浮かべて、トレーにグラスを乗せた。

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