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0時の鐘が鳴る前に

第1章 菜津子の部屋

お洒落な階段を上ってカフェテリアの扉をくぐると、

今日の相談者、高橋君は既に窓際の席でオレンジジュースを飲んでいた。

いつものイケメン店員にカフェラテを注文してから、彼の前に座る。

「鎌田さん!来てくれて、ありがとう。」

鎌田はわたしの名字だ。カフェラテの到着を待たずに、菜津子の部屋はオープニングを迎える。


「ううん、待たせてごめん。それで、どうしたの?」


高橋君の悩みは、彼女への誕生日プレゼントについてだった。

「鎌田さんが、今まで彼氏から貰った物で1番嬉しかったものって何?」

…あぁ、この人も勘違いしてる。プレゼントどころか彼氏すらいないんだってば…

なんてやっぱり言えなくて、私は微笑みながら言葉を濁す。

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