
バラードは君だけに
第10章 壊れてゆく心
バスを降りて少し歩くと、もう私のアパートの屋根が見えてくる。
今日は時間があるから、部屋の掃除をしよう…って考えてたのに。
アパートの下に立っている人影を見た途端、
ドキッ
私は思いっきり駆け出していた。
「湊さん…っ」
相変わらず素敵な笑顔で、私を見ている。
どうしたんだろうこんな時間に?
でも嬉しい。
すごく会いたかった…。
ーーーー
「はぁ、はぁ…」
あれ?
辿り着いた先に、湊さんはいなかった。
私はキョロキョロあたりを見渡したけど、いなかった。
「はぁ、はぁ…」
おかしい。
確かに、ここにいたのに……。
