
甘く染めて
第10章 №9
『やあああッ、やだっ、春夜君、痛いッ、』
涙目になって叫ぶ女の子。
『ちょ、おい、やめろって!』
俺は春夜を女の子から引き離した。
『っううう…っ、怖かったぁ…』
そう言いながら女の子は俺の背中に抱きついて来た。
『もう帰っていいよ? ほら、早く』
女の子を部屋から出し、
玄関まで見送った。
『遥斗君は、優しいね』
『え?』
女の子は靴を履きながら、そう言った。
『双子なのに全然違う』
『そりゃあ、双子が絶対ってわけでもないよね』
『…だね…… 春夜君って、本当は優しい人だよね』
女の子は俺の目を見て、
『私、春夜君が好きなの。さっきは怖かったけど、ね?』
照れ笑いがすごく可愛かった。
『でもね、最近、春夜く…『がたああああああんっ』』
『?! ごめ、俺部屋見てくる!』
