
優しいキスをして
第6章 秘密の恋人たち
……でも、あたし、このままでいいの……?
磐田さんは息を吐き出すように言った。
「よかったわ、私の思い違いで。先生、そのようです」
他のことはいくらでも嘘はつける。でもこれだけは……自分には嘘はつけない……。
「安心しましたよ。二人にはまだまだうちで頑張ってもらいたいですから。特に須藤さん?あなたには新人のころから目をかけてるんですよ?」
あたしが認めてしまえば今まで隠していたこともムダになる……。
「はい……ありがとうございます」
でも、あたし……。譲れないよ……。
「さあ、遅くなってしまったわね。帰りましょう」
そんなの無理だよ……!
あたしは唇を強く噛み締めた。
