
優しいキスをして
第6章 秘密の恋人たち
「……須藤、むしろあんた……、本気なんじゃない?」
あたしはフッと鼻で笑った。
「磐田さん、なに言って……」
「あたしには、むしろあんたは本気だから、そんなふうに言うようにしか聞こえない」
磐田さんは真顔であたしの言葉を遮って言った。
「……!」
あたしは愕然とし、目を見開いた。
……磐田さんには、……本当に、お見通しなんですね……。
あたしのことも、あたしたちが付き合ってることも……。
……磐田さんのあの顔は、確信すら持ってる。
……本当にわかった上で、言ってるんだ。
横でともくんがだるそうにため息をついた。
「磐田さん、何か誤解してないですか?俺達、別に何もないですよ」
言葉を無くしたあたしと入れ替えにともくんが立ち上がって言った。
「北澤くんには聞いてないわ。須藤に聞いてるの」
「……やめて下さいよ。俺、なんとも思ってないんで」
ともくんがめんどくさそうに言うと、磐田さんはちょっと顔色を変えた。
普段のともくんのキャラならいくらなんでも言う言葉ではないと思ったのだろうか?
「……そうなの?」
「はい。だから何もないですよ。須藤さんも言ってましたけど、ありえないです。俺、長年付き合ってる彼女いますし」
ともくんはあからさまにだるそうにため息をついた。
あたしは黙って成り行きを窺った。
「須藤さんは相変わらずじゃないですか?俺が何か思ったりすると思います?」
ともくんの声は穏やかな声質なのに、今まで聞いてきたことがないくらいに冷たくて、聞いていられなかった。
あたしは思わず顔を在らぬ方に向けた。
磐田さんはあたしたちを交互に見ている。
磐田さんの凍るような瞳で吟味するように見つめられてあたしはもう何も言えなかった。ただギリギリのところで平静を装うことしかできなかった。
……でも、あたしは、自分に嘘を突き通せるの?
磐田さんは暫く沈黙したのち、口を開いた。
「……本当に、そうなのね?」
「……はい。ただの同僚です」
ともくんの言葉を信じたかのように、磐田さんは胸を撫で下ろすようだった。
このまま誤魔化せば、上手くいく……。
あたしはフッと鼻で笑った。
「磐田さん、なに言って……」
「あたしには、むしろあんたは本気だから、そんなふうに言うようにしか聞こえない」
磐田さんは真顔であたしの言葉を遮って言った。
「……!」
あたしは愕然とし、目を見開いた。
……磐田さんには、……本当に、お見通しなんですね……。
あたしのことも、あたしたちが付き合ってることも……。
……磐田さんのあの顔は、確信すら持ってる。
……本当にわかった上で、言ってるんだ。
横でともくんがだるそうにため息をついた。
「磐田さん、何か誤解してないですか?俺達、別に何もないですよ」
言葉を無くしたあたしと入れ替えにともくんが立ち上がって言った。
「北澤くんには聞いてないわ。須藤に聞いてるの」
「……やめて下さいよ。俺、なんとも思ってないんで」
ともくんがめんどくさそうに言うと、磐田さんはちょっと顔色を変えた。
普段のともくんのキャラならいくらなんでも言う言葉ではないと思ったのだろうか?
「……そうなの?」
「はい。だから何もないですよ。須藤さんも言ってましたけど、ありえないです。俺、長年付き合ってる彼女いますし」
ともくんはあからさまにだるそうにため息をついた。
あたしは黙って成り行きを窺った。
「須藤さんは相変わらずじゃないですか?俺が何か思ったりすると思います?」
ともくんの声は穏やかな声質なのに、今まで聞いてきたことがないくらいに冷たくて、聞いていられなかった。
あたしは思わず顔を在らぬ方に向けた。
磐田さんはあたしたちを交互に見ている。
磐田さんの凍るような瞳で吟味するように見つめられてあたしはもう何も言えなかった。ただギリギリのところで平静を装うことしかできなかった。
……でも、あたしは、自分に嘘を突き通せるの?
磐田さんは暫く沈黙したのち、口を開いた。
「……本当に、そうなのね?」
「……はい。ただの同僚です」
ともくんの言葉を信じたかのように、磐田さんは胸を撫で下ろすようだった。
このまま誤魔化せば、上手くいく……。
