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アクマにアソコを貸しました

第10章 イカ?いいえ、津島です

下着を濡らしたまま呆然とケィシを見上げた私の鼻の頭に軽く歯を立てて身を起こした彼は、これ以上なく満足気だった。

私の反応はケィシのご希望に添えるものだったらしい。あーそうですか、そりゃようございました!


「梓穏、すまないな俺が使えないばかりに」

さっき相手まではわからないと言ったケィシに、心の中で罵ったのを読んで仕返し(しかも性的な!)とは狭量な!とか、モラル低いぞ!と思ったけどそんな事は言わないでおく。
私の睨んだ目付きはかたちだけで、密かに内腿を擦り合わせている位だから瞳はきっと肉欲で潤んでいる。

「これ以上意地悪するなら、もう知らないからね」

辛うじて絞りだした何の迫力もない脅し文句に、ケィシ片眉を上げた。

「それはすごいな。もう知らない、とは記憶を消すのか?そんなにすぐに消せるのか?鶏並みの記憶力が羨ましいぞ」

感心したように顔を覗きこんできた悪魔の横っつらを張ってやりたくなる。

当のケィシはお構い無しに私の頬を指先でくすぐるように撫でながら囁く。

「忘れてみろ。その時はもう一度体にも脳にも刻み込んでやるだけだ」

引き寄せられてケィシの腕の中に収まった瞬間、目の前の景色はオフィスから自宅に変わったのだった。

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