
それでも好きな人
第15章 不慮の事故
美鈴「…ただいま」
香苗「どうしたのその腕?」
拓真「階段から落ちちゃって…」
香苗「大丈夫なの?」
美鈴「大丈夫だよ、前に階段から落ちた
時だって」
香苗「!?」
美鈴「あっ、えっと…」
過ぎた事だったが
以前、美鈴が妊娠していた時
家の階段から落ち流産してしまった事が
ある
その時は
軽い打撲で済み骨折などはしなかったが
今の一言で思い出してしまった
あの日の辛い記憶を…
美鈴「…」
拓真「美鈴ちゃん…」
香苗「夕飯、食べやすいように工夫する
わね」
美鈴「あっ、ありがとう…」
香苗「…」
気まずい空気は香苗にも伝わり
自分の軽率な言動を悔い
反省した美鈴
だけど…
だけど違った…
この時、香苗の顔色が変わったのは
美鈴の軽率な言動のせいなどではなかっ
た…
香苗「…」
