
花火の秘密
第3章 すばるくんとの秘密
あれから幾度か分針が揺れてから、俺たちはようやく歩き出すことができた。
足が棒のように固まっていたため一歩目を出したときバキバキっと音が聞こえてきそうだ。
止まったり進んだりしながら着実に奥へと進んでいく。
時おりよだれを引き出す香りが鼻をつついて自然と気分が上がる。
「もうすぐ盆踊り始まりますね。」
「盆踊りなんてよう入っていかんわ。」
「まるちゃんやから入っていけるんやろ。」
村上くんを挟んだその向こう。
このもどかしい距離が一段と丸ちゃんを愛しくさせられてしまう。
気持ちと距離が比例すればもっと楽なのにと泣きたくなるぐらいだ。
「恥ずかしいことなんかないですよー。楽しまな損ですやん。繰り返しですしすぐ覚えますよ。」
「ゆうてもやっぱ勇気いるわあれは。」
「そうですかぁ?」
「わかってくれへんー。」
急に後ろから聞こえた声に一斉に振り向く。
ふくれて不機嫌な亮ちゃんの後ろに下を向いて指をみている章ちゃんが見えた。
「…急にどうしたん?」
聞かなくてもある程度はわかる。
あの鈍感な村上くんですら気づいて章ちゃんの元へ行ったのだから。
「大倉は浴衣、どう思う?」
袖を少しつまんで隣の俺やまるちゃんに当たらないように控えめに広げる。
まるで七五三の女の子のように。
「かわいいと思う。」
「僕はかっこいいと思う。スッゴく似合ってて亮くんっぽくてええと思う。」
「むっちゃほめてくれるやん!!さすがまる!!」
この誉める技術もきっとすばるくんと共にいる時間の間で鍛えられたんだろうな。
足が棒のように固まっていたため一歩目を出したときバキバキっと音が聞こえてきそうだ。
止まったり進んだりしながら着実に奥へと進んでいく。
時おりよだれを引き出す香りが鼻をつついて自然と気分が上がる。
「もうすぐ盆踊り始まりますね。」
「盆踊りなんてよう入っていかんわ。」
「まるちゃんやから入っていけるんやろ。」
村上くんを挟んだその向こう。
このもどかしい距離が一段と丸ちゃんを愛しくさせられてしまう。
気持ちと距離が比例すればもっと楽なのにと泣きたくなるぐらいだ。
「恥ずかしいことなんかないですよー。楽しまな損ですやん。繰り返しですしすぐ覚えますよ。」
「ゆうてもやっぱ勇気いるわあれは。」
「そうですかぁ?」
「わかってくれへんー。」
急に後ろから聞こえた声に一斉に振り向く。
ふくれて不機嫌な亮ちゃんの後ろに下を向いて指をみている章ちゃんが見えた。
「…急にどうしたん?」
聞かなくてもある程度はわかる。
あの鈍感な村上くんですら気づいて章ちゃんの元へ行ったのだから。
「大倉は浴衣、どう思う?」
袖を少しつまんで隣の俺やまるちゃんに当たらないように控えめに広げる。
まるで七五三の女の子のように。
「かわいいと思う。」
「僕はかっこいいと思う。スッゴく似合ってて亮くんっぽくてええと思う。」
「むっちゃほめてくれるやん!!さすがまる!!」
この誉める技術もきっとすばるくんと共にいる時間の間で鍛えられたんだろうな。
