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花火の秘密

第3章 すばるくんとの秘密

「渋やんに首輪とリードつけてはぐれやんようにせなあきませんね?」

「俺は犬か!?」

まるちゃんの楽しげな声で我に帰った。

すばるくんにつけるなら俺につけて欲しい。

そんなことをつい考えてしまう俺はもはや重症だ。

いつまでも空想に溺れていても空しいだけだった。俺は気をまぎらわせるために村上くんに話しかけた。ついでになにか奢ってくれれば幸いだ。

何気なく話ながら気づいた。

俺は今多分横山くんと同じだ。

逃げている。

すばるくんから。

まるちゃんからも。

俺がここに来たときはまだ薄ら明かりが空を照らしていたが、今やすっかり暗くなってしまった。

章ちゃん待ちでくたびれてしまった俺は軽い眠気に襲われていた。

すばるくんは横山くんを隅っこに誘って何やら話している。きっと村上くんに未だ核
心に迫った言葉が言えない横山くんに自慢しているのだろう。

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