背徳の雨
第5章 儚く、脆く
ある寒い日。
お昼寝をして目を覚ますと
寮には誰もいなかった。
時計を見ると0時。
皆仕事へ行ったのだと知る。
「ふわぁ〜」
あくびをして服を着替える。
その時、少しの空腹を感じて、
コンビニへ行く事にした。
寒い夜道、私は全く土地勘のない
谷町九丁目を歩いていた。
この寮からは
白狐の店までの道しか知らず、
とりあえず適当に歩き、コンビニを探す。
街灯が疎らな細い道に出る。
とぼとぼと歩いていると
背後から自転車のブレーキの音がした。
振り返ると黒い服に身を包んだ
如何にも怪しい男性がいた。
その男性は
ゆっくりと私の背後に忍び寄る。
ついてくる。
ずっと。
早歩きをした。
振り返る。
男は距離を保ってついてきている。
私はさすがに怖くなり、
ヒールを脱いで手に持ち、
薄暗い夜道を全力疾走した。
だが
──シャー…──
背後から自転車の音。
その音は
少しずつ私に近付いてくる。
私は必死で走った。
だが
「…っ?!」
突然背中に激しい痛みが走った。
だが私に止まるという
選択肢は無くて、走り続けたが
男は私を追い抜き、
私の目の前で自転車を止め、
立ち塞がった。
「え、ちょ…」
私は後退るが
男は少しずつ距離を縮めてくる。
そして自販機の横を通った時
私の恐怖は増した。
自販機の明かりに照らされて
男が持つ
包丁が光った。
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