背徳の雨
第5章 儚く、脆く
あの日から私は
毎日彼の店へ通った。
彼は来なくて良いからと
私を追い返すが
隙を見て店内へ忍び込み、
知らん顔で椅子へ座る。
勝手にボトルを入れ
追い返されない状況を作り上げる。
「もー…無理しなくていいから」
白狐の口癖。
毎日通った甲斐があり
最下位だった彼の売り上げが
3位にまで上がった。
元よりプレイヤーも少なく
小さなホストクラブだった為、
売り上げに然程、差はなかった。
そんな彼のプライベートは…
「馨、何が欲しい?」
白狐は人が良すぎる。
給料を貰っても私のお金だからと
全て私の為に使おうとする。
いいよ、と制止するが
何故か彼は私が欲しい物を的中させ
勝手に買ってくるのだ。
好きな食べ物も
好きな洋服も
彼は何もかも知っている。
口に出した事もないのに
何故知っているのか毎回問い詰めるが
彼は得意気に笑うだけだった。
そんな関係が一、二ヶ月続き…
「付き合ってください」
彼から告白された。
もう付き合っているも同然だ、
と答えると彼は笑った。
彼は私がネットカフェに
住んでいると知り、
私を会社の寮へ泊め置いた。
本当は規則違反だが
同室に住む、白狐の後輩、
亮も会社へ口外はしなかった。
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