背徳の雨
第1章 全てはここから始まる
例えば甘えるだけなら
幼稚園の先生でもいい。
現に担任の先生は
私の母の代わりみたいなものだった。
七夕、雛祭り、豆まき、運動会
何でもそうだ。
皆の写真はお母さんと一緒なのに、
私の写真はいつも先生と一緒。
何の行事でも母が来る事は無かった。
よく覚えてる。
例えば短冊や鬼のお面。
皆はお母さんと作ってるのに
私は独りぼっちで作っていた。
本当の事を言えば、酷く淋しかった。
独りぼっちだから行事が大嫌いで、
本当は泣いていた。
でも見られちゃいけないと
唇を噛み締めて
我慢していた事を覚えてる。
本当は洋服なんて欲しくないし
贅沢な食べ物も欲しくない。
何よりも淋しさを
埋めてくれる物が欲しかった。
どんなに泣いたって
家には私独りしか居ないし
淋しくても哀しくてもいつも独りぼっち。
皆みたいに家族で
遊園地や動物園に行ってみたい。
皆みたいに家族で
お買い物に行ってみたい。
願っても私の願いは叶わないし、
わがまま言って父を困らせたくない。
だからいつも何でも我慢する。
今でもそう。
私の小さい頃からの癖だ。
口癖も
「どっちでもいい」
これはけして
優柔不断から来ているのではない。
答えは出ているのだけど、
私は余り物でいい。
そうやって間違った優しさ、
思いやりを振り撒き、
私は今の今まで我慢し続けた。
私が我慢すれば
誰かが幸せになれると願って。
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