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寝取られ漂流記

第4章 16歳秋

俊哉を連れて向かったのは屋上。滅多な事じゃ誰も来ないここなら、他の人に聞かれる心配はない。


屋上に着くとあたしは俊哉の腕を離した。思ってなかった程、あたしは力いっぱい引っ張っていたみたいで俊哉があたしの数歩前に出る。


それでも俊哉は俯いたままで、でも辛うじてこっちには振り返ってくれた。


「俊哉」
「別れてくれ」


まだあたしは何も言ってない。


でも俊哉は確かにそう言った。
それはつまり。


「ほんとに由井を?」
「聞いたんだ」
「だから俊哉の所に来たの。そんな事ない。何かの間違いだって言って欲しくて。なのにそんな」


「ほんと、なんだ。ごめん」


俊哉はそれだけ言い残してあたしの横を走り抜けて屋上から降りて行った。

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