テキストサイズ

わすれない

第2章 それぞれの傷

弁護士、茅瀬の言葉に驚いた。


ーーあたしの家がある?



茅瀬は、また前の家に住みたいのであればいつでも暮らせるといった。家具や、電気ガスなど、そのままにしてあり、宮本さんと家政婦さんが掃除をしてくれているという。



「ーー私、また あの家に帰れるの?」


それは何も考えることなく、素直に出てきた言葉だった。
茅瀬はうなずいて言った。


「もちろんです。未成年とはいえ、あの家はあなたのものです。これは明日、皆様がお集まりいただいた時にもお話いたしますが、あなたの相続されるものははかり知れません。」



そして茅瀬はチラッと看護師をみた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ