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仮面な人たちの恋愛夢小説

第9章 愛が強さに?蜂蜜と指輪の思い出(鎧)

翌日。昨日の一件から解放された彼女は、覚えている限りの道を辿ってバロンのアジトへと脚を運んだ。

「‥‥お前…」

『ぁ…』

「何をしに来た」

『昨日の御礼をしに…』

「礼をされるようなことはしていないが‥」

『取り敢えず、何も言わずこれを受け取って下さい』

「‥何だこれは?」

『ケーキと紅茶です』

戒斗は渡された小さな入れ物を除き込む。
すると戒斗は…──

「ついて来い」

『あ、はい』

戒斗はそれだけ言って、静かにバロンのアジトへと彼女を招いた。
それから徐に椅子に座った戒斗は、入れ物に入った小さな箱を取り出した。
中身はチョコレートケーキだった。
そんな中彼女は戒斗を見ながら、ポットに入った蜂蜜入りの紅茶を取り出しカップに注いだ。
するとどうだろう。辺りに蜂蜜の優しい香りが立ち込め、戒斗の尖った気持ちをゆっくりと抑えてくれるようだ。
心地よい香りと共に、黙ってチョコレートケーキを口にした。

『如何ですか?』

「──…悪くない」

素っ気ない態度で言った戒斗だったがそんな言葉とは裏腹、意外にも彼の口にあったのかあっさりとたいらげていた。
そんな戒斗を見ていると、彼女からは不思議と笑みが零れていた。

『ぁ…、』

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