
仮面な人たちの恋愛夢小説
第3章 まだ見ぬお宝(D)
『海東さん、どうしたんですかそれ』
「これかい?なかなか物騒だろう」
『じゃあもしかして隣の女性は刑事さん?』
『はい。白石栞那といいます』
頭を下げ丁寧にお辞儀をする拍子に腕を思いっきり下げる栞那。
海東は少し痛そうな顔をしてしぶしぶ彼女に合わせる。
『海東さんを捕まえてどうするんですか?』
『勿論、後で署に連行します。』
「もうそれくらいでいいかな。僕は忙しい」
『何処までもついて行くわ、行動は任せるけどその代わり緊急時以外手錠は外さないから』
「‥了解した」
目立たないように服で二人の間の手錠を隠し海東に合わせて歩き出す栞那。
士と夏海は二人を見送りながらこんな会話を交わす…──
『士くんはあの二人どう思いますか?』
「どうって別に。まぁ強いて言うなら一つだけ、確信はないがある」
『何ですか?』
「海東が次に狙っている物だ。まぁ最も、彼奴に盗めるかどうかは知らないけどな」
『まさか士くん』
「あーっ、何も言うな。確信はないって言ったろ」
『はい。でもだとしたら凄いことしちゃいますね海東さん』
「ま、俺には関係ないけどな。行くぞナツミカン」
『夏海ですっ』
士の言うところの確信はないがある何かとは、海東が唯一まだ手をつけていないもの。
それは海東の一番の悩み所でも有るものだ。
