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正論

第1章 であい

わたしは結婚をしている。
子どももふたりおり、注文住宅の一軒家に住んでる。
主人はしっかり稼ぎ、お金の管理はすべて任され、
自由に使え、という人である。

幸せなんでしょう。これ以上なことがあるのでしょうか。

どうしてなんでしょう。
子どもは可愛いんです。幸せなはずなんです。

それでも、わたしは一度も「あぁ、幸せだ」と、
この生活で思ったことがないのです。

主人は小さな嘘をつきました。

わたしは主人を信頼し、依存していました。

絶望でした。

結果的には未遂ですが、自殺をしました。

彼のせいではないのです。

わたしには深い闇があったんです。

人格障害とうつ病。

診断された時は不思議なことにスッと楽になれた部分がありました。

そんなとき、助けてくれた友人がいました。

彼は何年も前からなんとなく側にいたような人で、
お子さんはいないけれど、既婚者です。

辛いときは何時までも相手をしてくれました。

気晴らしに、と大好きな海へ連れ出してくれました。

安定剤を飲んでしまい、お酒を飲みました。

記憶がありませんが、彼は好きだ、とキスをくれました。

記憶を取り戻したとき、わたしは彼から今まで感じたことのない、優しいキスをもらってました。

いけないことでしょう。
汚い、軽蔑されることでしょう。

でも、わたしはその優しいキスの虜になり、
今でも彼を無条件に愛してしまっています。

その気持ちは本物だと信じていて、
本当に綺麗で、純粋な、まるで初恋のような気持ちです。

世の中、正論が正論でなくなってしまっては、
おかしくなる。

それでも人の気持ちは白か黒か、では済まされない。


わたしは彼が信じられないくらい、愛おしい。

この臭いものにどうして蓋をするべきなのか。

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