一万回目のプロポーズ
第6章 もうやめて
『俊司…』
「笹川さん、言ってたじゃん…俺の彼女は千尋だって」
『あたし…そんなつもりで言ったわけじゃ…』
俊司はあたしを一瞥し
また歩き出した
『ぁ…』
確かにあたしは
そう言ったけど
『ぁたし…』
そんなつもりで言ったんじゃ…なかったのに
『ごめ…』
俊司がこっちを振り向いた気がしたけど
ぼやけて
どんな顔してるのか
わかんないや
『ご…め…』
何でこんなに
泣いちゃってるのかなぁ…?
「ば…」
"馬鹿"って
聞こえた気がした
あたしは腕を引っ張られ
掃除ロッカーの後ろまで連れてこられた
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