一万回目のプロポーズ
第3章 優しくすんな
―――――――――――
ポツ…ポツ…パラパラパラ
『…嘘だぁ』
帰り道の途中だった
通り雨か何なのかわからないが、急に空模様が悪くなり
降られてしまった
なんか…
あたしの心情、今こんな感じなのかなー…
家まではまだ遠かった
傘もなければタオルもない
『いいよ、これも青春』
ザァアーと打ち付けるような雨音のおかげで
馬鹿みたいな独り言を言えた
着ていたカッターシャツはすぐにびしょびしょになり、下に着たキャミソールが透けた
うん、色っぽい…とか、何言ってんだあたし…
『…』
泣いてた
雨で体中凍えるようだったが、目も鼻も喉も
無駄にどんどん熱くなっていった
俊司には…彼女いるんだから…
あたしもいい加減、未練たらたらやめろよ…
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