一万回目のプロポーズ
第14章 かませ!
ポーッと見ていた
ボールの行く先だけをただただ目で追って、1人で感嘆しながら
「いったぞ俊司ーーーー!!!」
その、誰かの叫び声に1番反応したのはあたしじゃなかろうか
ハッと、改めてボールを見ると
一気に視界が鮮明になった
『俊司ーー!!!』
何だかよくわからないけど、あたしは大声で叫んだ
ボールは鋭く地面を走り、俊司のもとへと飛び込んだ
すぐさまボールは姿を消した
『お』
消したんじゃない
俊司のドリブルが速すぎたんだ
ぎゃあああああああああ!!///
もう何が何だかよくわからない
でもひとつ言えることは、俊司は他の上手い子を抜いてさらに上手いということだった
素人目に見てもそれはわかった
俊司の前を塞ごうとする人の壁も、俊司はあっさりとかわしていくんだ
あれよあれよと言う間に、俊司の前にはキーパーとゴール
相手の焦る顔
俊司の真剣で、楽しそうな顔
あたしは一瞬、本気で息が止まった
ズパンッ!!
俊司が放ったボールは、見事にキーパーを抜いた
『ああ!!!』
ガンッ
と、
ボールはポストに当たって外へ飛び出した
『…』
ああ〜惜しかったな!
どんまい!
もう一本!
と、コート内から声が出る
俊司はチラッと舌を出して、また自分のポジションまで戻って行った
少しだけ俊司と目があった気がした
ちょっとほほ笑んで、あちゃ、て顔して
『…殺人プレイ…』
今日、いわゆるキュン死を迎えるんじゃないかと思った
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