テキストサイズ

願わくば、いつまでもこのままで

第8章 変化

______12分前



「遅いなぁ…」



外では泉陽と佐倉田弥生が喋っているとはつゆ知らず、私、泉比奈はいつになっても帰ってこない和君こと私の夫、泉和斗を待っていた。




テーブルには並べられた2人分の食事。

それに対し
椅子に座っているのは私独り。




連絡も入れず彼はいったい何処をほっつき歩いているのだろう




目の前のテーブルに置いたままの携帯を私はただただ見つめていた。
折り返しの着信やメールが届くことを期待して。

電話はもう10回はしたかもしれない
メールは5回


そして時刻はもうすぐ10時





11回目の電話をしようか迷っていたころ携帯が光った。




PLLLL……PLLLL……




すぐさま手に取り、ボタンを押した。




「はいっもしもし!和君!!
一体今どこにいるの!?
連絡も入れずに何してるの!?」





息巻く私の声に驚いたのか、恐る恐る相手も電話に答えて来た。




___……あの〜、もしもし
えーと、
僕は泉和斗の同僚で小橋といいます___




「えっ、ああ、いつも主人がお世話になっています。あの、主人は今どこにいるのですか?私、彼からなんの連絡も受けていなくて……」




___あっそうなんですか!
それはご迷惑をおかけしました。
ええと、今は社の飲み会の最中なんですが、本人以外彼が酒に弱いことを知らなくって、どんどん飲ませてしまって、泉が潰れてしまったんですよ……___




「まあ!それはこちらこそご迷惑おかけして申し訳ございません!どうしましょう、私がそちらに迎えにいきましょうか?」




___いえ、そこまでしてもらうわけにはいかないので、僕が家まで送らせていただきます。
住所は分かっているので、奥様は15分後くらいに前の道路に出て待っててもらってもよろしいでしょうか___




「はい!分かりました!」




ピッ





携帯を切った10分後私は少し待ちきれずに部屋を出た。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ