
願わくば、いつまでもこのままで
第8章 変化
梶木に急かされ慌てて家に戻る。
だが……
え?いや、待てよ
普通に考えて家にロープって
あるのか?
「……」
「がああぁぁぁっ!!」
「ぎゃあっっ!?」
開けたままのドアの外から聴こえてきた声にビビる俺。
焦りに焦り俺はドタバタと部屋を駆け回りながら物を探した。
取り敢えず人縛れればなんでもいいんだろ!?
押入れの中に適当に入れられた物の山を掻き分ける。
縛られるもの、人を縛られるもの……
…縛る…縛る……人を縛る……
…………SM……
「っておい!何考えてんだ俺は!!」
と自分に言いながら押入れの中を探っている時、出てきたのは……
大人の玩具の1つである…
「…………は?」
……手錠だった。
…………???
え……ナニコレ
なんでこんな物が自分家に?
え?え?え?
いや本当になんで?貰い物?
読者の皆さん勘違いしないでくださいよ
俺は真面目にそんな性癖持っていませんから、これ本当に
「おいっ陽!早くしろ!!!」
ビクッッッ
またしても外からの声に
冷や汗が1筋垂れた。
俺の手にのせられた手錠。
確かにこれで人の手首は縛れるが
さすがにこんな物持ってっては……
いやでもそうこうしている間に……!!
ああ、いや、え、でも、いやここは……。
「…………よし、行こう!
行くんだ俺!勇気ふりしぼれ!!
梶木や園田なら分かってくれるさ!…」
俺はその手錠を握り外に出た。
「梶木!持ってきたっ……ぞ……
……………は?」
俺の目の前には
ロープで縛られた佐倉田と
達成感で充実した笑顔を輝かせる
園田と梶木がいた。
「よくやったな園田!
事前にロープを用意しとくとはね」
「いや、ごめんね
途中まで持ってたこと忘れててさ
梶木もお疲れ様」
キャッキャウフフと嬉しそうに喜ぶ2人を
おれはただ呆然と見ていた。
