
願わくば、いつまでもこのままで
第5章 市民プール
シートに大きな影がおり、
2人して見上げると声が降ってきた。
「またなにイチャイチャしてんのよ!」
私たちを睨みながら仁王立ちの園田さん。
その後ろで苦笑いの梶木君。
「だからイチャついてn「イチャイチャなんてしてないよ!!」
思わず声が飛び出して、あれ?と思った時には他の3人皆が驚いて私を見ていた。
「あ、あの……」
どうしよう……
そう思ったけど、
いや、でも……!
はっきりさせなきゃいけないと思った。
「園田さん」
彼女の真正面に立ち、目と目を合わせた。
「誤解しないで」
「なっ、誤解って……」
強く、伝えた。
園田さんは何か言いそうだったけど、
声が小さくなって消えてしまった。
狼狽え後ずさる園田さんの後ろから
梶木君が来て、
私の肩にポンと手を置き、皆に呼びかけた。
「あのさ、こんな事やってないで遊ぼ?」
一瞬静まりかえった。
が、陽君が立ち上がり梶木君の肩に腕を回し
「おーし、行くか!」
そう言って男2人先を行った。
私も園田さんも少し呆然としていたけど、
私が園田さんの手を取り歩き出した。
「行こっ園田さん!」
「え、あっ……」
まだボーッとしていた園田さんを半ば強制的に歩かせた。
ちょっと振り返ったら
顔を歪ませていて
その表情は
とても
哀しそうだった。
