テキストサイズ

願わくば、いつまでもこのままで

第5章 市民プール


私は独り浮き輪をつけて
人が溢れかえったプールの中でプカプカ浮いていた。




……気持ちいいな……



見上げればお天道様が

今日もきれいに輝いている。




……気持ちいい……けど…

…………暇、かな…



ボー……っとしていたら

いきなりすぐそばで大きな水しぶきが上がった。



ドボー……ン



「きゃっ!?」


ブクブクと泡立ったプールの底から
ザバッと人が起き上がった。


私は突然のことで目を丸くして見ていた。



「ふぅ……あー、気持ちいい…」


その人は前髪をかきあげ
視線をこっちに向けた。



「ひーなちゃん、
何いつまでもボーっとしてんの?」


「陽、君……」


陽君はニッと白い歯を見せて笑った。




…ドクン





「び、びっくりさせないでよ!
あんないきなり飛び込んできて
心臓に悪かったよ、もう……」


「あははっごめんごめん
暇そうだったから
驚かそうと思ってさっ」










水の滴る髪、肌

意外にも、わりとひきしまっている上半身



なんだろう…いつもとは違う
陽君が凄いかっこいい……





「男の人」としてのかっこよさ





陽君も



「男」なんだよね







…ドクン……ドクン……



陽君が私を驚かせたせいか

鼓動が少し高鳴った

ストーリーメニュー

TOPTOPへ