刑事とJK
第5章 小犬
「これくらいでどうだ?」
斉藤が顔を上げたので、
ゆうひは覗き込んだ
地面には、大きな穴が出来ていた
『…十分』
斉藤は小犬を抱え、穴の中にそっと置いた
「土かけるけど、いいか…?」
『…うん』
その返事には、
どこか後ろめたさを感じた
ゆっくりと、傍に寄せた土を
小犬の上に被せていく
最後に顔に被せ、
小犬は完全に土に埋まった
ゆうひはただ黙って
そこだけを見ている
斉藤はその場に居づらくなった
「じゃあ…オレは帰る…」
するとゆうひは、
泥まみれになった斉藤の手を取った
泥を手で拭き取りながら
『…ありがとう』
と、それだけ伝えた
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