
手紙~天国のあなたへ~
第6章 別離
民衆はその貼り紙を見て、初めてお触れの内容を知るのだ。
愃こと李愃が突如として眼の前から消えて、二ヵ月余りが経っていた。
「何だって、世子さまが刑死?」
貼り紙の前には無数の人だかりができている。その最前列にいた商人風の男が素っ頓狂な声を上げた。
「なに、世子邸下が亡くなられたって?」
その傍らの商人の連れらしい初老の男がまたその声に敏感に反応した。
「どうやら、世子邸下は国王殿下のお怒りに触れたらしいぞ」
商人が声を低め、隣の連れに囁いている。
刹那、留花は叫んでいた。
「通して、通して下さい!」
声をかけながら何重にもなった人の群れをかき分け、前へと進んでゆく。
最前列まで漸く辿り着き、留花は食い入るように貼り紙に見入った。
愃こと李愃が突如として眼の前から消えて、二ヵ月余りが経っていた。
「何だって、世子さまが刑死?」
貼り紙の前には無数の人だかりができている。その最前列にいた商人風の男が素っ頓狂な声を上げた。
「なに、世子邸下が亡くなられたって?」
その傍らの商人の連れらしい初老の男がまたその声に敏感に反応した。
「どうやら、世子邸下は国王殿下のお怒りに触れたらしいぞ」
商人が声を低め、隣の連れに囁いている。
刹那、留花は叫んでいた。
「通して、通して下さい!」
声をかけながら何重にもなった人の群れをかき分け、前へと進んでゆく。
最前列まで漸く辿り着き、留花は食い入るように貼り紙に見入った。
