手紙~天国のあなたへ~
第4章 野辺送り
先刻と異なり足早に歩いてゆくその姿はすぐに路地の角を曲がり、見えなくなった。
留花は愃の姿が視界から消えた途端、その場にくずおれた。
「あの男は一体、何者だ?」
いつまに来たのか、成洙が傍らにヌッと立っていた。
「成洙おじさん」
ハッと顔を上げると、成洙は気難しげな顔に更に渋面を浮かべている。
「あの若造はどう見たって、両班の若さまだろ? お前のような仕立屋がまかり間違っても奥方になんぞなれるような家の息子じゃないぞ」
「私―」
言いかけた留花を成洙がギロリと睨んだ。
「香順婆さんがおっ死んじまった途端、もう、この体たらくか? 婆さんの喪中だってのに、男を家に引き込んだりして」
「幾ら成洙おじさんでも、そんな言い方は酷いわ」
留花は愃の姿が視界から消えた途端、その場にくずおれた。
「あの男は一体、何者だ?」
いつまに来たのか、成洙が傍らにヌッと立っていた。
「成洙おじさん」
ハッと顔を上げると、成洙は気難しげな顔に更に渋面を浮かべている。
「あの若造はどう見たって、両班の若さまだろ? お前のような仕立屋がまかり間違っても奥方になんぞなれるような家の息子じゃないぞ」
「私―」
言いかけた留花を成洙がギロリと睨んだ。
「香順婆さんがおっ死んじまった途端、もう、この体たらくか? 婆さんの喪中だってのに、男を家に引き込んだりして」
「幾ら成洙おじさんでも、そんな言い方は酷いわ」
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