向かいのお兄さん
第54章 好きだから、食え
『毒なんて入れてないし、砂だって入れてないよ!!』
砂はもしかしたら、入っていたかもしれない…
『ちゃんとしたケーキなの!!
粉末にしたのは直也でしょ!?』
粉末にしたのは
本当はあたしだし…
『毒味なんて…
家で死ぬほどやってきたんだから!!
美味しくないってことぐらい、知ってんだから…!!』
「うまかったよ」
3秒くらい
時間が止まった気がした
「うまかった」
ちょっとだけ姿勢を低くして
あたしの顔を覗いてくる直也の顔
『あたし…あたしね…あたし…』
「今日って、バレンタインデーだったの?」
ドキリと心臓が鳴った
『…知ってたの?』
「ううん、今思い出した」
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