向かいのお兄さん
第36章 どっち
「それで?」
『それで…行ったら、部屋から先輩が出てきて…
しかも、下着姿…』
「ありゃりゃ」
まずいな
という顔を見せるかっちゃんに、あたしはろくに目も合わせられない
『きっぱり言われました…直也の彼女だ、ってこと…
でも…』
語尾が
上ずった
『でもそしたら…あたしは直也の何なんですか…?』
考えて
悩んで
考えて
悩んで…
もう
疲れてしまったのかもしれない
悲しいことはもちろんだけれど
どこか諦めめいた気持ちの沼に、沈んでいく自分がいる
「…それで?」
『…泣いて、帰ってきました…
かっちゃん…』
「ん?」
『あたし…もう嫌です…』
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