
BL~中編・長編集~
第18章 バラ園
「う…ん…?」
目が覚めたのは外が真っ暗になった後だった。
一日中寝ていたおかげか、熱も下がり、体も随分と軽くなった。
「今…何時だろ…」
起き上がり、枕元にある携帯を確認すると、午後六時半頃だった。
俺が目覚めたのとほぼ同時くらいに、父さんが部屋に入ってきた。
「もう起きても平気なのか?」
「うん。 今日はごめんなさい…休んじゃって…」
素直に謝ると、父さんは優しく微笑んで俺の頭を撫でてくれた。
(あ…父さんの笑顔…久しぶりに見たな…)
「別にいいさ。 風邪なんか早く治せ。 真さんも寂しがってたぞ?」
その言葉に一瞬だけ固まった。
真さんが…?
驚いて父さんを見ると、父さんはポケットから手紙を取り出して、俺に差し出してきた。
「ああ…あとこれも。」
父さんは思い出したように、俺を撫でていた手とは反対の手に持っていた紙にくるまれた一輪の真っ赤なバラを枕元に置いた。
「真さんからだ。 お前に会いたがってたぞ。 今度会ったらちゃんとお礼を言えよ。」
父さんはそう言って微笑むと、部屋から出て行った。
俺の手元に残されたのは、一輪のバラと真さんからの手紙だった。
俺はとりあえず、手紙の封を切った。
『三島 祐実様
お体の具合はいかがですか? あなたのお父様から熱を出したという事を聞き、お手紙を書かせていただきました。
早く具合がよくなるといいですね。』
そこで手紙は二枚目に続いていた。
『…それと…この間はすみませんでした…。
謝ってすむ事ではない事はわかっています。
でも、私に向かって笑ってくれたあなたがあんなに近くにいたら、我慢ができなくなってしまい…
本当にすみませんでした。
私はあなたの事が―』
言葉は途中で途切れ、次の紙に続いていた。
先が気になり、急いで三枚目に目を通す。
『…長々とすみませんでした。
早く具合がよくなるといいですね。
葛城 真』
手紙を読み終え、静かに手紙を封に戻した。
「真さん…」
その名を小さい声で呟く。
あなたに会いたい…
枕元に置いてあるバラを手に取る。
匂いを嗅ぐと真さんの匂いがした。
(あなたが…何を考えているのかわかりません…)
気づかぬうちに、涙を流していた。
目が覚めたのは外が真っ暗になった後だった。
一日中寝ていたおかげか、熱も下がり、体も随分と軽くなった。
「今…何時だろ…」
起き上がり、枕元にある携帯を確認すると、午後六時半頃だった。
俺が目覚めたのとほぼ同時くらいに、父さんが部屋に入ってきた。
「もう起きても平気なのか?」
「うん。 今日はごめんなさい…休んじゃって…」
素直に謝ると、父さんは優しく微笑んで俺の頭を撫でてくれた。
(あ…父さんの笑顔…久しぶりに見たな…)
「別にいいさ。 風邪なんか早く治せ。 真さんも寂しがってたぞ?」
その言葉に一瞬だけ固まった。
真さんが…?
驚いて父さんを見ると、父さんはポケットから手紙を取り出して、俺に差し出してきた。
「ああ…あとこれも。」
父さんは思い出したように、俺を撫でていた手とは反対の手に持っていた紙にくるまれた一輪の真っ赤なバラを枕元に置いた。
「真さんからだ。 お前に会いたがってたぞ。 今度会ったらちゃんとお礼を言えよ。」
父さんはそう言って微笑むと、部屋から出て行った。
俺の手元に残されたのは、一輪のバラと真さんからの手紙だった。
俺はとりあえず、手紙の封を切った。
『三島 祐実様
お体の具合はいかがですか? あなたのお父様から熱を出したという事を聞き、お手紙を書かせていただきました。
早く具合がよくなるといいですね。』
そこで手紙は二枚目に続いていた。
『…それと…この間はすみませんでした…。
謝ってすむ事ではない事はわかっています。
でも、私に向かって笑ってくれたあなたがあんなに近くにいたら、我慢ができなくなってしまい…
本当にすみませんでした。
私はあなたの事が―』
言葉は途中で途切れ、次の紙に続いていた。
先が気になり、急いで三枚目に目を通す。
『…長々とすみませんでした。
早く具合がよくなるといいですね。
葛城 真』
手紙を読み終え、静かに手紙を封に戻した。
「真さん…」
その名を小さい声で呟く。
あなたに会いたい…
枕元に置いてあるバラを手に取る。
匂いを嗅ぐと真さんの匂いがした。
(あなたが…何を考えているのかわかりません…)
気づかぬうちに、涙を流していた。
