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BL~中編・長編集~

第18章 バラ園

そう言っているが、まだ顔が赤かったので心配になり、真さんの額に手を添えた。

「熱は…と…」

真さんは更に顔を赤くして、俺から目を逸らした。

「真さん…? 大丈夫ですか? 具合悪いんですか?」

「な、何でもない!!」

そう言って額に添えた手を離された。

「あっ…」

(怒ってる…よね…?)

調子に乗って喋りすぎたと思い少しだけ俯くと、真さんがため息をついた。

「頼むから…そんな顔をするな…」

「え?」

驚いて顔を上げると、目の前に真さんの整った顔があって、気がつけば唇に柔らかいものが当たっていた。

(嘘!? なんで…)

「んんっ!? 真さっ…」

真さんの名前を呼ぼうと口を開けると、口の中に温かい湿ったものが入ってきた。

「んっ!? ふっ…あ…ッ…」

飲み込みきれない唾液が口の端から喉を伝い落ちていく。

「真さ…やめっ…」

真さんの胸を強く叩くが、びくともしない。
だんだん力も抜けていき、俺はキスの快感に浸っていった。

「んっ…あ…はっ…」

ようやく真さんが唇を離した。
うっすらと目を開けると、二人の間を銀の糸が引いているのが見える。

「な…んで…こんな…」

真さんは俺の質問には答えず、俺を抱きしめてきた。

「離して…ください…」

「祐実…」

真さんは俺の名前を呟くと、シャツの中に手を入れてきた。

俺はハッとして、真さんを突き飛ばすと、夢中でその場から逃げ出した。

真さんが悲しそうな顔をしていた事など気づかずに…

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