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俺の前に立っていた幸村が、遠慮がちに口を開いた。

「どうして・・・僕の大切な人をさらったりしたんですか？」

「俺らは、慎二君のためを思って・・・」

幸村の悲しそうな表情を見て、先輩方は明らかに焦っている。

「僕のためって・・・・どこが僕のためなんですか？」

幸村が目に涙を溜めているのを見て、先輩はどうしていいのかわからないようだ。

「こいつが、慎二君のことを泣かせたから・・・・」

「・・・・」

あ、そうだ。

その話のこと、詳しく聞きたい。

「とにかく・・・・先生にこのことを話されたくなかったら、今すぐこの場を立ち去っていただけますか？」

「「・・っ・・・」」

瑞城の言葉に、先輩方は一目散に逃げ出した。

後に残された俺達の間には、気まずい空気が流れる。

「ふぅ・・・なんとかなったな。」

「あ、あぁ・・・・」

瑞城はそう言って、俺の耳元に口を寄せてきた。

「お前の恋人、俺達が寝たと思ってるみたいだな。　それに・・・お前が幸村を泣かせたっていうのは、満更嘘でもないらしい。」

「・・・は！？」

なんだそれ！？

俺と瑞城が寝た！！？　ありえねぇ！！！