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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「三神…いつまでくっついてるつもり?」

「え、あ…すみませっ…」

と言われましても…

私、身動きとれる状態じゃないんです。

「せっかく三週間振りに会ったのに、恋人より執事なの?」

「うん。」

「……………」

留架様…

嬉しいけど…亮様が怖い。

「あ、あの…留架様、私は大丈夫ですから…」

「大丈夫だったら倒れないでしょ?」

いや、そうなんですけど…

「ほら、三神を休ませてあげな。 話なら、後でゆっくりできるでしょ。」

「そうだね。」

亮様の言葉に、留架様は私から離れて椅子に腰かけられた。

「でも、よかった。 元気になったみたいで。」

「ご心配おかけして、申し訳ございません。」

留架様は私を寝かせて、布団までかけて下さった。

「いいから。 今はゆっくり休んで。」

「…はい。」

本当に、いい主人に出会えた。

「っ…」

「どうしたの?」

怖い。

寝たら、またあの夢を見るのではないか…

「…もしかして、さっき悪い夢見たから、怖くて寝れないのか?」

「悪い夢?」

「……すみません。」

いい大人にもなって、情けない。

「じゃあ、俺が三神の手、握っててあげるよ。」

「え?」

言うが早いが、留架様は私の手を握られた。

「俺が小さい頃、怖い夢を見て眠れなかった時、三神は俺が寝るまで手を握っててくれたでしょ?

すごく安心して、よく眠れたから。

三神が寝るまで、こうしてるよ。」

「留架様…」

確かに、誰かが傍にいてくれると実感できて、安心する。

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